時代を超える力強い描写、エルマー5cm F3.5
最初の日記がレンズを手放すという話なのも先が思いやられるが、某フリマサイトではURLの貼り付けが禁止されていてYahooボックスに収容した撮影サンプルを見て頂くことができないので、この記事を通じてレンズの品質を感じて頂こうと思い立ち上げた。
特にオールドレンズは経年の磨き傷やくもり、カビなどが出てしまうことはある意味避けられないものだが、それも程度次第。とにかく美しいレンズを求める方には問うても無駄な話だが、いい写真を撮影する上では少々の傷やくもり、カビがさほどの影響を及ぼすものではない。それにはレンズの玉よりも撮影した写真を見て頂くしかない。
本題に戻ろう。
エルマー5cm F3.5
エルマーといえばライカ、ライカといえばエルマー、と言われるようにライカの名声を築いたのはこのレンズの高い光学性能にあったといっても過言ではない。
今回手放すのはS/N 79.8万台のエルマー。ライカポケットブックの番号表では1945年もしくはその翌年頃に製造ということで、かれこれ70年以上を経過したオールドレンズであるが、その描写は決して古めかしいものではなく、むしろ隙なく端正にまとめられた現代のレンズよりも荒々しく力強い若さを感じもするのだ。
このレンズもしかり。レンズには目視で気になるような傷はないものの、薄っすらとくもりと小さなカビがあるため、残念ながら安価で取引されることになるだろう。
しかしながらその描写はシャープで力強く、時に柔らかい。カラーフィルム以前の設計にも関わらず色ノリの良い発色でまるでオールドレンズらしくない。
以前手に入れたけどすぐに手放したニッケルエルマーはもっと低コントラストで開放でも絞ってもシェードのかかったような画しか撮れなかったので使用や保管状態による個体差が大きいのだとは思うが、いい個体に当たれば長く楽しめるレンズである。
100年越えても色褪せない、それがエルマーの真髄かもしれない。